東京高等裁判所 昭和31年(ラ)950号 決定
抗告人等は原決定を取消すとの裁判を求め、その抗告理由とするところは別紙の通りである。
しかし民事訴訟法第六〇九条第一項の催告は、差押債権者に当該債権の差押により執行の目的を達し得るか否かを判断する資料を得させることを目的とするものであること原決定説示の通りであり、債権差押の効力として第三債務者に同条所定のような陳述義務を負わせているものである。然るに本件のように債権の差押命令と同時に転付命令をも併せて申請し、その両命令が同時に出さるべき場合にあつては、当該命令が債務者及び第三債務者に送達されると同時に執行手続は終了し、差押の効力も消滅するのであるから、その後において第三債務者に前記法条所定のような陳述をさせる申立をすることはできないものといわなければならない。
なるほど抗告人等のいうように、差押債権者が当該債権の差押により執行の目的が達せられるか否かの判断の資料を得るの必要は、差押命令の送達後に転付命令の申請をする場合と、差押命令と同時に転付命令を併せて申請する場合と変りはないかも知れない。しかし債権差押中に第三債務者に前記のような陳述を求めるのは執行手続の内部のことであるのに反して、差押命令に併せて転付命令が出される場合は、当該命令の送達と同時に執行手続は終了するのであるから、この場合にもまた執行内部の手続である前記催告の制度を利用することは許されないものと解しなければならない。
右の理由によつて本件抗告はこれを認容することができないので、これを棄却することとした。よつて主文の通り決定する。
(薄根 奥野 山下)